離島にプチ移住!小笠原1ヶ月滞在生活(前編)

小笠原

日本一遠い島と呼ばれる小笠原諸島に滞在しようと決めたのは、「人と違う経験をしてみたい」という好奇心からでした。仕事を辞めて思い切って船に乗り、小笠原に1ヶ月間滞在した滞在記をまとめました。まずは前編から。

【離島にプチ移住してみた!小笠原1ヶ月滞在生活(後編)】はを先に読みたい人はこちらから↓

この記事はこんな人におすすめ

・小笠原がどんな島か気になる
・小笠原に行ってみたい
・離島移住に興味がある
・リゾートバイトに興味がある

感動の嵐!何もかもが新鮮で楽しい

【滞在期間】2019年4月3日 東京竹芝桟橋発便〜5月2日 小笠原諸島父島・二見港発便

当時の私の状況
・20代後半女性
・3月末に仕事を退職
・小笠原は初めて
・リゾートバイトは初めて
・島旅には慣れている(島旅歴4年当時)

出発時の東京・竹芝桟橋の様子。お見送りがたくさん 

快晴の小笠原に到着!出迎えの人だかりに感動

東京・竹芝桟橋を出発して24時間。念願の小笠原に到着です。
(おがさわら丸の様子は「小笠原へ行く人必見!おがさわら丸の船内を徹底解剖」の記事をどうぞ↓)

船を降りると待ち受けていたのは多くのお出迎えの人たち。船が港に到着する時間には宿泊施設やマリンショップ(ダイビングショップなど)のお店の方々が、看板を持ってお迎えにくるのはどの島でも見られる離島あるあるです。

港で下船客を迎えるお店の人たち

しかし、小笠原はその規模が違いました。
小笠原はまず、離島にしては島民数が多いです。父島だけでも2,200人程度が住んでいますがあくまでも住民上の話で、実際には2,600人ほど住んでいるといわれています。また、一番特徴的なのは定期船が6日に一度しかないこと。そのため、唯一の連絡航路であるおがさわら丸が出入港する日には大勢の島民がお出迎え・お見送りをします(名物のお見送りは後述。涙ものです)。

その日は新年度一発目おがさわら丸入港日ということもあり、内地(離島から見た本土のことをこう呼びます)から仕事で小笠原に赴任される方も多く乗船していました。だからお迎えも普段よりも多かったわけですが、これまで経験してきた離島のお迎えよりも遥かに盛大で驚きました。

◯◯さん歓迎と書かれた横断幕も

下船し、私は1ヶ月間お世話になる《小笠原ユースホステル》の看板を探します。船から一番近いところにいたのですぐ発見できました。

「おかえりなさい〜!」
笑顔ではっきりとそう聞こえたその言葉に私は戸惑いました。
「・・・初めて来たのにおかえり?」

相手は初対面、こちらは少し緊張。もちろん「ただいま!」なんて下の句を発することはできず、タジタジな感じで挨拶をしました。島を訪れる人を「おかえり」と迎え、島を去る人を「いってらっしゃい」と見送るのが小笠原の文化だと知ったのは後のことです。

小笠原に到着したその日は気持ちの良い快晴。おがさわら丸からはケータ列島(小笠原諸島の島々)もはっきりと見えました。半袖でも快適な清々しい日に、これから始まる1ヶ月に胸を高鳴らせて小笠原生活がスタートしました。

大神山神社上の展望台から見た二見港の様子

絶景だらけの島に感動

小笠原はとにかく絶景だらけです。集落以外は勾配が激しく、高台から海を望めるスポットがたくさんあります。目の前のひらけた光景は目を見張るものばかりです。青々とした海。そこには時々ザトウクジラも跳ねています(ザトウクジラのシーズンは12〜4月頃)。高いところから島の全景を臨むと、遥か遠い場所だと思っていた小笠原に確かに自分が今いることを実感し感激しました。

どこから見る景色も絶景です

小笠原には「展望台」と名の付くスポットがたくさんありますが、そうでなくても高台に行く道中でさえ眼下に広がる海の美しさと豊かな緑には心が溶かされていくような感覚になります。その雄大な大地から、小笠原はなんとなく沖縄の与那国島に似ている雰囲気を感じました。

リゾートバイト(宿のお手伝い)をしながら滞在していましたが、隙間時間を縫っては借りたバイクで島中で散策。道という道を網羅し、ガイドなしで行ける場所には全て行った自信があります。(「通っていない道がないようにする」が私の島旅のモットー)おすすめの絶景ポイントなどはまた別記事でご紹介するつもりです。

小笠原は山がすごい

見たことない動植物、大自然に感動

小笠原は一度も大陸と陸続きになったことがない「海洋島」で、独自の動植物の進化が遂げられてきました。他の地域にはみられない動植物だらけで、40%程度の植物、38%程度の昆虫、陸産貝類(カタツムリなど)にいたっては90%以上が固有種とのことです。また、オガサワラオオコウモリアカガシラカラスバトメグロなどの鳥など、小笠原にしか生息していない動物がたくさんいます。

そういう細かい数字や難しい話はひとまず置いておいても、レア度高いものに惹かれる性格の私はそういうものを見るたびに「これは小笠原に来なきゃ見られないのか」といちいち感激して小笠原に来た感激をここでも噛み締めていました。

ガイドさんと一緒に歩けば、その動植物の生態や外来種から守るための取り組み、それが100年・200年単位の壮大な計画なのだというような情報や知識をたくさん教えてもらえ、小笠原の成り立ちとともに歴史を感じられ、学びが非常に多いです。

小笠原にきた際にはぜひガイドツアー(陸も海も)に参加することをおすすめします。小笠原を深く知ることができ、思い入れも深くなると思います。

父島で一番高い山・中央山より

世界遺産の島、東京の島。他の離島との大きな違い

小笠原は離島にしては都会!

私はこれまでにも数々の離島を訪れました。小笠原に来て大きく感じた違いがあります。それは、「全体的に整備されている」「都会的」ということです。

父島のメインストリート。南国雰囲気たっぷりです。

離島というと寂れた田舎であるところが多いです。表面的には観光地化され整っているように見えたとしても、細部に目を向けると道中のベンチが壊れかけていたり、看板は朽ちていたりなど整備されていない部分はよくあります。でもその先に美しいビーチや絶景が待っていたりしますし、観光地より島の文化・生活に興味がある私はそういう部分も含めて離島の好きなところではありますが、小笠原はそれを感じませんでした。

小笠原は2011年に世界自然遺産に登録されました。また、所属は東京都です。財政的にも他県の遠く離れた小さな離島よりは行き届いているのだと思いますし、世界に誇る日本の離島ですから力を入れているのだと思います。
だから公園もきれいだし山の上にある東屋やテーブルもきれいです。朽ち果てたベンチは見たことがありません。どのビーチもきれいに保たれています。ただこれは、島の小中学生や島民の方々が定期的に、積極的にビーチクリーンをしているからでもあります。

父島で一番好きな場所、中山峠

小笠原に限らずですが、島で育った人は絶対にその海や森にゴミを捨てることはしません。どんなに見た目のガラが悪い人(笑)でも、島の自然を守る心はいろいろな場所で感じてきました。人として当たり前だとは思いますが、そういう気持ちが当然のものとして根付いている離島はやはりいいなと、都会で日々過ごす私は思うわけです。

小笠原が他の離島と明らかに違う点のもう一つは「方言」です。小笠原には方言がありません移住者が8割とも言われる小笠原。「離島」と聞いて想像するような田舎臭さを感じられないのは、小笠原が常に外部との接触があり、人の出入りも激しく、流行や文化が常に更新されているからだと思います。
方言もなく、若い人の割合が他の離島に比べると圧倒的に高いです。子どもたちもたくさんいます。だから「とても元気な島だな」という印象を受けました。

大村海岸(前浜)で遊ぶ親子
境浦海岸のベンチ

スケールが違う生き物たちとの出会い

1ヶ月の滞在中には海の生き物たちとの出会いもありました。

衝撃的なパフォーマンス!名物ザトウクジラ

これが一番忘れられない出会いです。小笠原周辺海域には12月頃から4月頃にかけて、ザトウクジラが繁殖・子育てのためにやってきます。ザトウクジラを見ることは私の小笠原で達成したい目標の1つ。宿のお手伝いの合間を見て、ホエールウオッチングのツアーに参加しました。お世話になったのは《C-TRIP》さんです。

目の前で見られたザトウクジラのブリーチング。迫力満点

見事ではないですか。
ザトウクジラの大ジャンプが、目の前で見られたのです。生まれて初めてクジラを見た私は、しばらく興奮が止まりませんでした。この日はまだ小笠原に着いて2日後のこと。「小笠原ハンパないな・・・!」という語彙力のない、でもそれ以上にない感想しか生まれませんでした。同時に3頭か4頭のザトウクジラが船の周囲でしばらくパフォーマンス。この光景は1年以上たった今でも、私の脳裏に焼き付いています。衝撃的な経験でした。

人懐っこいイルカたち

小笠原の海のアイドル、イルカ。小笠原では数々のドルフィンスイムツアーが催行されています。小笠原にイルカのシーズンはなく、一年中楽しむことができます。私は《素潜りの学校》さんにお世話になってドルフィンスイムツアーに出かけました。

ハシナガイルカの群れ

小笠原で見られるイルカは主に2種類。ミナミハンドウイルカハシナガイルカです。人懐っこい方はミナミハンドウイルカなので私はこちらを期待していました。結局群れに会えたのはハシナガイルカだったので「一緒に遊ぶ」という感じではありませんでしたが、それでも目の前をゆくイルカの群れに感激しました。

目の前に迫る巨大サメ

シロワニってなんのことがご存知でしょうか。ワニではなく、サメの名前です。体長2〜3mの大きなサメで、絶滅危惧種に指定されている貴重なサメです。そのサメ、なんと小笠原ではコンスタントに見られるのです。

小笠原滞在中にはダイビングも楽しみました。お世話になったのは《ダイビングサービスKAIZIN》さんです。「大物が見たい」とリクエストして連れて行ってもらったそのポイント。岩穴の中にいましたシロワニ。

手を伸ばせば届く位置にいる絶滅危惧種のシロワニ

ものすごく怖い顔をしていますが、性格は穏やかでこちらが刺激しない限り襲ってきません。そうと分かっていても、シロワニが真横を通る間は心臓バクバク。ネムリブカやドチザメなど比較的小さいサメはこれまでも何度も見てきましたが、この距離でこのサイズのサメは初めて。貴重な体験ができました。

海にも見逃せない生物がたくさんいる小笠原。体験ダイビングもできるし、ドルフィンスイムもウエットスーツを着れば泳げない人も大丈夫です。普段は海には入らないという方も、小笠原に行ったら絶対に海でも遊ぶことをおすすめします。他では絶対できない体験が待っています。

青々とした海に見惚れてしまいました

長くなってきたので、小笠原1ヶ月滞在生活(前編)はここまで!
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